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【スポーツ茶論】正木利和 スタジアムの周辺で

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【スポーツ茶論】
正木利和 スタジアムの周辺で

 2・3メートル×12メートルの大画面には、疾走する短距離走者が描かれている。作者はテッド・タナベというスポーツ・アーティストだ。1963年に渡米、そこで認められた彼の、スポーツを題材にした躍動感あふれるアート作品は、東京ドームの野球殿堂博物館や横浜の日産スタジアムの正面玄関などをいまも飾っている。

 「雄飛」がそれらと少し異なるのは、この作品が実質、ある人物によって寄贈されたということにある。贈り主は大阪市生野区の、とある中小企業の経営者。大学時代にはボクシング部で活躍した彼はいつもその胸に「熱」を抱いていた。

 彼は言った。「私たち在日韓国人は、日本で生きてゆくべき宿命を背負っている。だから生活圏の日本のため、そして祖国の韓国のため、友好親善に貢献できる事業を行い、在日同胞の地位を向上させたいのです」と。

 2年後にソウル五輪が迫っていた。彼のいう友好親善に貢献できる事業というのは、大阪城ホールとソウル五輪のメインスタジアムに、友人でもあるタナベ氏の作品を掲げることだった。まず大阪に壁画をつくり、多くの人に広く趣旨を理解してもらいながら募金活動を行って、いずれはソウルへも、というのが、究極の夢だったのである。

 彼に会ったのは、その活動に懸命に取り組んでいるさなかのことだった。

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