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【東京特派員】「凌雲閣」「Beeタワー」…タワーが消える世の転変 湯浅博

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【東京特派員】
「凌雲閣」「Beeタワー」…タワーが消える世の転変 湯浅博

 十二階は、いまのBeeタワーより7メートルも高かった。そのタワーも、どうやら役割を終えるときを迎えたようだ。隅田川をはさんだ押上に、東京スカイツリー(634メートル)ができてから、すっかり色あせてしまったのだ。

 浅草遊びの幼い頃は、まだBeeタワーはなかった。昭和35年になんと「人工衛星塔」という名で華々しく登場した。やがて、花の間を飛び交う蜂のイメージから、現在の「Bee」に変わった。

 巷(ちまた)にはタワーを惜しむ声があると聞く。しかし、浅草はもともと観音様に参る参詣客の町で、その北に控える吉原の賑わいで発展した。荷風が江戸の残映を惜しみ、万太郎が昭和初期に「往日の夢」を見続けても、浅草の“街ごとカーニバル”は、容赦なく変貌していくのである。

 花やしき通りを抜けた先に昨年暮れ、巨大な「まるごとにっぽん」館が誕生して、全国の隠れた名品がここで入手できるようになった。すぐ脇には、つくばエクスプレスの浅草駅ができて、もはや、荷風や万太郎の挽歌も哀惜も聞こえてきそうもない。(ゆあさ ひろし)

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