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【野口健の直球&曲球】師・植村直己さんから独立した瞬間、43歳で山を下りるという誓いは…

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【野口健の直球&曲球】
師・植村直己さんから独立した瞬間、43歳で山を下りるという誓いは…

野口健さん 野口健さん

 鏡に映る自分の顔が老人のように老け込んでいた。仲間の死はその人数分だけ自分を老いさせる。挑戦には「得る」ものもあれば「失う」ものもある。山登りを続けるかどうか葛藤したときには決まって「43歳までは」と自身に言い聞かせた。そしてついにその43歳に到達…。

 先日、ヒマラヤトレッキングに出かけてみた。8000メートル峰を眺めながら「これからどうしようか」と感じたかったのだ。アンナプルナ峰を見つめながら気がついたことがある。それは「43歳まで」から解放されている自分。肩の力がスーと抜け、まるで花畑を目の前にしているかのような安らぎがあった。それは「植村さんからの独り立ち」だったのか。下山中はまるで遠足帰りの小学生のような軽い足取りであった。「失うものの中から得るものもある」のかもしれない、と。

                   

【プロフィル】野口健(のぐち・けん) アルピニスト。1973年、米ボストン生まれ。亜細亜大卒。25歳で7大陸最高峰最年少登頂の世界記録を達成(当時)。エベレスト・富士山の清掃登山、地球温暖化問題、戦没者遺骨収集など、幅広いジャンルで活躍。新写真集に『ヒマラヤに捧ぐ』(集英社インターナショナル)。

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