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【正論】日本の真の自立のために「七難八苦」を与えよ 今こそ山中鹿之助の精神に学べ 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

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【正論】
日本の真の自立のために「七難八苦」を与えよ 今こそ山中鹿之助の精神に学べ 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

 しかし、戦後は一転して、この忠君愛国の精神の涵養(かんよう)に利用された人物像が災いして、鹿之助は否定的に捉えられるようになってしまった。戦前と戦後で、はっきり評価が変わってしまった人物は数多いが、鹿之助もその典型であろう。しかし、清張は、そういう価値の転換から離れて「いつも大敵に挑みながら、一生を思う存分に暴れた」人物として描いている。

 江戸時代の頼山陽は「虎狼の世界に麒麟を見る」と詠った。明治では、勝海舟が山中鹿之助を『忠臣蔵』の大石良雄(内蔵助)と並べて評価しているのが興味深い。勝は有名な『氷川清話』の中で「潔癖と短気は日本人の短所」ということについて語っているところで鹿之助の名前を出している。

 ただ死ぬことを軽んずるばかりを武士の本領とする教育が行われて、一般の風潮がとかく一身を潔くするのを良しとするようになったことを惜しみ、「こういう風な潔癖と短気とが、日本人の精神を支配したものだから、この五百年が間の歴史上に、逆境に処して、平気で始末をつけるだけの腕のあるものを求めても、おれの気に入るものは、一人もない。しかし強いて求めると、まあ大石良雄と、山中鹿之助との二人サ」といい、「山中鹿之助が、貧弱の小国をもって、凡庸の主人を奉じ、しばしば失敗して、ますます奮発し、斃(たお)れるまではやめなかった」ことを称賛している。

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