産経ニュース

【正論】日本の真の自立のために「七難八苦」を与えよ 今こそ山中鹿之助の精神に学べ 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
日本の真の自立のために「七難八苦」を与えよ 今こそ山中鹿之助の精神に学べ 文芸批評家、都留文科大学教授・新保祐司

 この8月に、松本清張の歴史小説『山中鹿之助』が初文庫化された。清張は、昭和30年前後に、武田信玄、徳川家康、黒田如水などを取り上げた歴史小説を書いている。これらは、少年少女向けに書かれたものだが、時期的には昭和28年に『或る「小倉日記」伝』で芥川賞を受賞し、作家として登場したばかりの頃である。

 山中鹿之助について書いたものは、雑誌掲載後一度も書籍化されることがなく「幻の名作」とされてきたが、昨年5月に初めて一冊となって刊行された。それが今回、文庫にもなったのである。

 ≪国民的英雄になった悲運の武将≫

 私は早速入手して読んだ。というのは、山中鹿之助という戦国時代の武将に心惹(ひ)かれるものがあったからである。山中鹿之助は清張が書いた武将たちの中では今日一番知られていないかもしれない。その他にも信長、秀吉、謙信などはいうまでもなく、今話題の真田信繁などと比べても知名度は低いであろう。人口に膾炙(かいしゃ)したこれらの武将たちの歴史上の大きな業績と比較すれば、鹿之助のやったことは、山陰という一地方での戦いという小さなものかもしれない。

 しかし、今日の日本にとっては、鹿之助の34年の生涯の意味は精神的には深いものがあると思われるのである。

続きを読む

関連ニュース

【正論】小池都政は多様化を進めよ 国政は中国の文明論的挑戦に備え、日米同盟強化を 希望支える日本のビジョンを 同志社大教授・村田晃嗣

「ニュース」のランキング