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【大阪特派員】古書の神様、青空書房が残したもの 山上直子

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【大阪特派員】
古書の神様、青空書房が残したもの 山上直子

 とかく、文化に冷たい、または疎遠な都市だと思われがちな大阪だが、昔から古本文化はさかんだった。それは、「古本屋文化」といっていいかもしれない。

 今や古本もインターネットで検索して簡単に買える時代だ。それでも、店頭で思いがけなく懐かしい本に再会する、名物店主と呼ばれる人に出会うといった喜びは、リアル店舗でなければ味わえない醍醐味(だいごみ)である。とはいえ、ここ十数年、大阪の名物古書店が次々と看板を下ろした。

 そんな7月のこと、ある訃報が新聞に載った。

 開業70年という、大阪・天神橋の老舗古書店「青空書房」の店主、坂本健一さんが93歳で亡くなったのだ。戦後の闇市から出発し、筒井康隆さんや田辺聖子さん、山本一力さんといった著名作家も常連客に名を連ねた。そのため、話し好きの坂本さんの隣のいすに座ると出世する-という伝説まで生んだ名物店だった。

 晩年は定休日が増えたが、それを知らせる手書きのポスターを毎回掲示すると、それがまた面白いと評判になった。「ほんじつ休ませて戴きます」(主婦の友社)という本にもなり、「読書は息をするようなもの。本は人生そのものです」という言葉が心に響く。

 その後、青空書房の本は古書会の市場を通じ、いろいろな所へ引き取られていったと聞いていたが、大阪・堂島の小さな古本屋に思いがけず、消息を聞いた。青空書房で使われていた本棚などを譲り受けたという。

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