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【正論】短期決戦に勝負をかけるプーチン大統領 だがトルコとの関係悪化など「反作用」も 木村汎・北海道大学名誉教授

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【正論】
短期決戦に勝負をかけるプーチン大統領 だがトルコとの関係悪化など「反作用」も 木村汎・北海道大学名誉教授

木村汎・北海道大学名誉教授 木村汎・北海道大学名誉教授

 ≪アサド政権継続の目的は達成≫

 ロシアは昨年9月、突如シリアへの空爆を開始し、全世界を驚かせた。ところが今年3月、同じシリアから主力部隊を撤退させると発表し、再び耳目を聳動(しょうどう)させた。しかし冷静に考えてみると、プーチン大統領によるこの種の電撃作戦は、ロシアの現状、なかんずく外交戦略を反映したものに過ぎず、格別驚くに値しない。

 まず、ロシアのシリア空爆は複数の目的で開始された。第1の狙いは、アサド政権の継続である。一般的にプーチン大統領は、米欧諸列強から経済、その他の支援を得て、人民が下から反乱を起こし、「レジーム・チェンジ(体制転換)」を試みる動きに嫌悪感を抱いている。他方ロシアはアサド政権から数々の軍事的、経済的な便宜や利益を得ており、同政権が万一崩壊すれば、ロシアはそれらを一挙に失うことを惧(おそ)れている。

 ロシアは自らが実施した約6カ月間の空爆、その他の軍事行動によって、アサド政権のシリア国内での実効支配地域を拡大させ、同政権を少なくとも当分の間、安泰にすることに成功した。アサド政権に対し恩を売るとともに、次のメッセージも送った。ロシアによる同政権支持は、無償の一方的な好意にもとづくものではない。アサド政権はロシアに対し基地の供与など、これまで以上の便宜を図る必要がある、と。

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