産経ニュース

【正論】米大学の授業料高騰で学生ローン残高は1兆ドル超 もはや日本の模範にはならぬ 関西大学東京センター長・竹内洋

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
米大学の授業料高騰で学生ローン残高は1兆ドル超 もはや日本の模範にはならぬ 関西大学東京センター長・竹内洋

社会学者で関西大学東京センター長の竹内洋氏 =3月17日午後、東京都千代田区(栗橋隆悦撮影)【撮影日:2014年03月17日】 社会学者で関西大学東京センター長の竹内洋氏 =3月17日午後、東京都千代田区(栗橋隆悦撮影)【撮影日:2014年03月17日】

 私がいまから30年ほど前にアメリカで在外研究をしていたころのこと。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が言われた直後の時代である。日本の経済成長の原因として、日本の初等・中等教育の素晴らしさがアメリカの新聞や雑誌によく掲載されていた。小学生がパスカルの原理を理解しているとか、教員は「センセイ」といわれて尊敬されているなどの記事がめじろ押しだった。

 しかし、そういう日本の教育絶賛の時代でも、日本の高等教育を称賛する論調はどこにもなかった。アメリカの大学は世界の範と自他ともに認めていたからである。実際、当時州立大学の授業料(州住民)は日本の国立大学並みの低額で、奨学金も充実していた。さすがアメリカの高等教育は、不平等を解消し、アメリカンドリームを実現する場になっていると思ったものである。

 ≪学生ローン残高は1兆ドル超≫

 20世紀末から日本では、大学改革時代をむかえ、アメリカ大学モデルが滔々と流入してきた。「シラバス」(講義要項)や「ファカルティ・ディベロップメント」(大学教職員の能力開発)などの大学改革用語のほとんどはアメリカ産である。たしかに世界の大学ランキング(2015年)でもトップ10大学のうちアメリカが8校を占めている。他の2校は英国のケンブリッジ大とオックスフォード大。日本では東大21位、京大26位。グローバル化の掛け声とともに、依然としてアメリカの大学が範とされがちである。

「ニュース」のランキング