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【産経抄】トランプ大統領を待ち望んでいるのは中国ではないか… 3月28日

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【産経抄】
トランプ大統領を待ち望んでいるのは中国ではないか… 3月28日

 1920年に発足した国際連盟は、ウィルソン米大統領が提唱したものだ。ただし、肝心の米国は加盟を見送った。いわゆる「モンロー主義」に共鳴する議会が拒絶したからだ。第5代大統領モンローの名に由来する孤立主義は、米国の伝統的な外交政策のひとつである。

 ▼「世界の警察官」を返上したオバマ大統領は、しばしば「新孤立主義」と揶揄されてきた。確かに国際紛争への介入に慎重なあまり、かえって混乱を拡大させた責任は大きい。大統領選の共和党候補指名争いでトップを走るトランプ氏は、もっと極端である。

 ▼メキシコとの国境沿いに壁を造り、中国からの輸入品に高率の関税をかけるだけではない。日米同盟にもかみついている。「米国は日本を助けても、日本は米国を助けない」から、不公平との主張だ。

 ▼米紙とのインタビューで、さらにとんでもない発言が飛び出した。日本が駐留経費の負担を増額しなければ、在日米軍を撤退させるというのだ。「米軍は日本から出ていけ」と叫んできた人たちにとっては、思わぬ味方が現れたことになる。

 ▼いや、誰よりもトランプ大統領の誕生を待ち望んでいるのは、中国かもしれない。同盟の弱体化は海洋進出を進める上で、最大の障害が消え去ることを意味する。日本としては、同盟についての誤解の広がりを座視するわけにはいかない。いかに日本が大きく貢献しているのか、米国世論への発信を強めていく必要がある。

 ▼同時に、今回の大統領選は、日本の安全保障を見直すきっかけになる。トランプ氏が言及した核武装を含めて、冷静な議論を始めるべきだ。米国の戦争に巻き込まれるより、米国に去られた後に戦争を仕掛けられる可能性の方が、ずっと高いのだから。

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