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【産経抄】「それでも海と生きてきた」三陸の民の強さ 3月13日

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【産経抄】
「それでも海と生きてきた」三陸の民の強さ 3月13日

 岩手県出身の石川啄木は盛岡中学3年の夏、級友と連れ立ち三陸沿岸の旅に出た。陸前高田、大船渡などを経て釜石に至り、しばしわらじを脱いでいる。明治29(1896)年の三陸地震による大津波が沿岸部を洗ってから、わずか4年後という。

 ▼釜石の市街地に歌碑がある。〈ゆゑもなく海が見たくて海に来ぬこころ傷みてたへがたき日に〉。『一握の砂』に収まるこの歌は、旅の10年後に東京の空の下で詠まれた。人々を裏切り、多くの命をのみ込み、なお人の心を捉えて離さないのが三陸の海なのだろう。

 ▼裏返せば「それでも海と生きてきた、三陸の民の強さだ」と釜石出身の久保竜太さん(32)は思う。5年前の震災直後、潮に浸(つ)かった街で親類を捜した。津波の再来も危ぶまれる中、幼児を背負ってがれきを踏み越えている。「30分後の自分が想像できなかった」。

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