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【産経抄】2月28日

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【産経抄】
2月28日

 アイデアとは何かの拍子に像を結ぶものらしい。フランスの哲学者デカルトはある日、部屋の中でハエの羽音を聞いた。見れば天井と2つの壁に囲まれたひと隅を、忙しく飛び回っている。X軸、Y軸、Z軸の図が浮かんだのはそのときだという。

 ▼名高い「デカルト座標」の誕生である(高橋誠著『ひらめきの法則』)。世紀の発見に限るまい。ふと浮かんだ着想で、行き詰まっていた仕事に活路が開けることもある。デカルトのハエは出来すぎとして、ひらめきの粉を運ぶ親切な虫は、どこかにいるのだろう。

 ▼国連の設置した科学者組織「IPBES」によると、ハチなどの生物が花粉を運ぶことで世界にもたらす経済的利益は、最大で年5770億ドル(約65兆円)という。日本の農業も年4700億円の恩恵に浴していると聞けば、小さな働き者たちに感謝の言葉もない。

 ▼果樹や野菜の花粉は、2万種以上の虫や鳥などに運ばれる。多くをミツバチが担い、それ以外の虫では受粉できない農作物もあると聞く。近年、ミツバチが各地で姿を消すとのニュースが絶えない。人間は腰を低くして「虫の知らせ」に耳を傾ける必要があろう。

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