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【正論】真の国際人であるための条件とは何か 入江隆則(明治大名誉教授)

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【正論】
真の国際人であるための条件とは何か 入江隆則(明治大名誉教授)

 国際人たるべしという要望はこの国の内外で依然、強いようである。小学生の低学年から英語を教えるべきだという意見も、それに関連してよく語られている。しかし、私はそういう考え方に疑問を感じている人間の一人である。その一つの理由は、その人自身は国際人でないのに、国際人を説いている場合が多いような気がするからだ。

 ≪本格的な日本語教育を≫

 実は私も自分の娘を国際人にしようとして努力したことがないわけではなかった。本人の希望や、私の日本の大学への失望感もあり、大学から大学院にかけてはイギリスで教育を受けさせることにした。一応、その甲斐もあって、娘は英語を使い、アメリカの国際企業に勤務し、シンガポールを拠点に活動している。しかし、どうも最近はそのマイナス面が目について仕方がない。

 娘はロンドンかパリに家を建てるといっている。つまり娘に会いに行くときには国際線に乗らなければならない。

 また、最近は本を書くなどと言っているが、それも日本語ではなく英語にしようと考えているらしい。カズオ・イシグロのように英語で書いたらいいよ、と私は冗談で言うこともあるが、本心は穏やかではない。日本には平安朝以来の、漢字仮名交じり文で文章を綴る輝かしい伝統があるのに、それがどうなったのかと大時代なことを考えたりする。

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