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【正論】TPP新時代で自由化に弾みを 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

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【正論】
TPP新時代で自由化に弾みを 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

 アトランタで行われていた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)閣僚会合の最終局面を見ていて、わが国の交渉姿勢はずいぶん進化したな、と感心した。

 かつて通商交渉の最終局面といえば、日本は他国に「押し切ってもらう」のを待っているような存在であった。ウルグアイ・ラウンドの交渉では、農業分野を守ることが最重要課題とされ、交渉の自由度は極めて小さかった。しかも、いくつもの省庁の思惑が交錯していたから「日本政府は誰と話せばいいか分からない」などと揶揄(やゆ)されたものである。

 ところが、今回のTPP交渉における日本チームは全く違っていた。「ワールドカップにおける日本ラグビーのようだ」と評すると大げさかもしれないが、往時を知る者としては隔世の感がある。

 ≪交渉全体に貢献した日本≫

 思えばTPP交渉全体が始まってからこの秋で5年目を迎える。安倍晋三政権が発足し、TPP交渉に参加を表明してから約2年半。この間、日本チームは押すべきところは押し、切るべきカードは切り、ちゃんとしたゲームのプレーヤーとして振る舞っていた。もちろん譲歩はしているが、「農産物5品目の関税制度は守る」という国内公約も堅持した。

 それどころか、難航したバイオ医薬品の問題では、米国と豪州の間の仲介役を果たしている。「日本がいなければまとまらなかった」とまでは言えなくとも、交渉全体に貢献していたことは間違いない。少なくとも、「日本が足手まといになっている」といった批判はついぞ聞かれなかった。

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