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【正論】ギリシャ危機に得る日本の教訓 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

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【正論】
ギリシャ危機に得る日本の教訓 双日総合研究所チーフエコノミスト・吉崎達彦

 ギリシャ債務問題をどう評するか。現在進行中だけに、悩ましいところがあるが、わが国にとっての示唆を3点考えてみたい。

 《ナイーブな議論に流されるな》

 まずは通貨ユーロについて。発足から10年以上が過ぎてから、統一通貨が抱える根本的な矛盾が表面化してきた。ギリシャの加入を決めたときは、欧州連合(EU)内には「プラトンの国にノーは言えない」という声があったと聞く。が、今のギリシャにソクラテスが居るようにはとても思えない。政治的な理想論に走って、経済的な現実を軽視していたのではないだろうか。

 欧州はひとつ、という理想には誰もが文句をつけられない。だったら欧州は財政もひとつにすべきであった。通貨だけを統合するという「いいとこどり」は、虫がよすぎたといえよう。

 およそ国家は、その経済力を超えた通貨を持つことはできないし、持つべきでもない。ギリシャの通貨がドラクマのままであったなら、金利は高く、将来は切り下げ観測が強くなるので、海外からの過大な借金はおのずと躊躇(ちゅうちょ)しただろう。それがユーロ圏の一員となったがために、返す当てのない借金をつくってしまった。そして今ではギリシャ国民が苦しみ、さらなる緊縮政策もつらいがユーロ離脱も悪夢、という究極の選択を迫られている。

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