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【鈍機翁のため息】(247)間奏 III 松山ケンイチさんの感性

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【鈍機翁のため息】
(247)間奏 III 松山ケンイチさんの感性

 昭和19年10月、フィリピンのレイテ湾に向かう途中に撃沈された戦艦武蔵と思われる船体が発見された。その映像を眺めながら、不意に戦艦大和と俳優の松山ケンイチさんを思い出してしまった。それほど脈絡のないことではない。こういうことだ。

 大東亜戦争末期、連合国軍の沖縄諸島方面への進攻を阻止する目的で実施された「菊水作戦」に出撃した戦艦大和の乗組員たちを描いた映画「男たちの大和/YAMATO」(佐藤純彌監督)を覚えている方も多いと思う。松山さんはオーディションによって年少兵、神尾克己役を手に入れた。

 数年前のことだ。雑誌「正論」で、プロデューサーとして松山さんを抜擢(ばってき)した角川春樹さんと歌人の福島泰樹さんに対談してもらったことがあった。そこで角川さんはこんなことを語ったのだ。

 役作りの参考にしてもらおうと、角川さんは、知覧から翌日飛び立つことになっている特攻隊員の様子を記録した映像を松山さんに見せた。そこには穏やかな笑顔で子犬をかわいがる少年たちの姿があった。これを見た松山さんはこう叫び声をあげたという。

 「なぜなんだ! なぜこいつらは笑顔でいられるんだ!」

 松山さんの感性に驚き、この人間は絶対に信用できると思った。前回、私は「骨力を養う30年に」と書いた。その土台には、松山さんのような感性が絶対に必要だと思う。どうしたらよいのか…。(桑原聡)

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