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【一筆多論】陸自火力の大幅削減は危うい 中静敬一郎

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【一筆多論】
陸自火力の大幅削減は危うい 中静敬一郎

 陸上自衛隊の戦車と火砲の大幅な削減が進められている。一昨年末の新たな防衛大綱と中期防衛力整備計画により決まったものだ。

 だが、これで有事に即応できるのか、という不安と懸念がくすぶり続けている。防衛費は3年連続で増えるものの、肝心の防衛力が弱体化するという奇妙な事態が生じている。

 削減は10年程度をかける。平成25年末、戦車は約700両、火砲は約600門だった。それを約300両、約300門にする。しかも戦車は北海道と九州のみに配備され、本州などには展開しない。代わりにタイヤで道路を走れる機動戦闘車を導入するが、戦車と同じ機能は発揮できない。火砲についても北海道以外は、各方面隊直轄の特科部隊に集約される。

 火力の削減は20年前の平成7年に決まった「07大綱」以降、趨勢(すうせい)になっている。その前の昭和51年に決定された「51大綱」は、「限定的かつ小規模な侵略を独力で排除する」「組織及び配備において均衡のとれた態勢」をとるとし、戦車1200両、火砲1000門は必要最小限の火力とした。

 しかし、「07大綱」は「独力排除」を削除した。当時の防衛庁は、自らの力で国を守るより、日米安保体制への依存を強める方向に舵(かじ)を切った。冷戦終了後の「軍縮」ムードの中、自民、社会、さきがけ3党連立の村山富市政権下での方針転換だった。

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