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【オウム死刑執行】作家・ジャーナリストの青沼陽一郎氏「事件伝えられていない」

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【オウム死刑執行】
作家・ジャーナリストの青沼陽一郎氏「事件伝えられていない」

ジャーナリストの青沼陽一郎氏 ジャーナリストの青沼陽一郎氏

 麻原彰晃元死刑囚は、とても怖がりで小さい人間だ。平成16年2月に東京地裁で死刑判決を言い渡される際、裁判長に証言台に立つよう促されても従わず、複数の刑務官に手を引かれても体を「くの字」にして、立つまいと抵抗した。あの瞬間、麻原彰晃ではなく松本智津夫という人間の正体を見た気がした。

 初公判では検察官が何人も入れ替わりながら地下鉄サリン事件の被害者約3800人の氏名を読み上げる中、元死刑囚は寝ていた。教祖としての余裕を感じたが、その後、公判で事件の全容を明らかにする弟子たちの証言が続くと、尋問中の不規則発言で抵抗し、次第に元気がなくなり、沈黙し、そして痩せていった。

 オウム真理教全体でみれば、高学歴者が多かったわけではない。当時のバブルの空気についていけない若者が「これって幸せなの?」と悩む中、元死刑囚の著書にある「生きるって、なんて苦しいんだろう」というような共感を誘う巧みな言葉と独自の価値観の提示に、信者の多くが取り込まれていった。

 元死刑囚には「訴訟能力がない」という声もあるが、実際は異なる。当初、1審で「弟子の反対尋問をやめてほしい」「意見陳述をさせてほしい」などと主張し、はっきりと裁判所や弁護人に意思表示をしていた。それが、裁判が思い通りに進まないことを知ると、不規則発言につながり、裁判長の注意にも会話で抗弁していた。沈黙もその抵抗のひとつだ。

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