産経ニュース

【東日本大震災7年】「やっとこの地で」震災後初めて慰霊祭 避難指示解除の福島県富岡町

ニュース 社会

記事詳細

更新

【東日本大震災7年】
「やっとこの地で」震災後初めて慰霊祭 避難指示解除の福島県富岡町

避難指示が昨年春に一部で解除され、東日本大震災後初めて町内での慰霊祭が開催された=11日、福島県富岡町(上田直輝撮影) 避難指示が昨年春に一部で解除され、東日本大震災後初めて町内での慰霊祭が開催された=11日、福島県富岡町(上田直輝撮影)

 東京電力福島第1原発事故による避難指示が昨年4月に一部地域を除いて解除された福島県富岡町では11日、震災後初めて町内で慰霊祭が開かれた。会場の町総合福祉センターには町外で避難生活を送る住民を含む90人が訪れ、犠牲者に黙とうをささげた。

 昨年12月に帰還した中沢正雄さん(66)は、避難中の平成25年に亡くなった義理の父、照明さんに「戻って来ました」と手を合わせた。東京都足立区などに避難していたが、「生まれ育った故郷に戻ろう」と決意し、町内の自宅を修復した。しかし、自宅周辺にかつてのにぎわいはないままだという。

 住民の帰還は進んでおらず、津波で長女、康子さん=当時(40)=を失った川端登代子さん(73)は戻りたい気持ちを抱きつつ、今も同県郡山市で避難生活を続ける。自身も津波に巻き込まれ、耳が聞こえなくなった。当時住んでいたアパートはなくなり、金銭的な見通しも立たない。それでも「地元での慰霊祭は特別。やっとここまで来たんだね」と話した。

 避難先での生活再建を決めた住民も多い。馬上(まがみ)正一さん(69)は26年、避難先の郡山市で自宅を購入。迷いはあったものの「帰れる状況ではない」と決断した。避難生活で体調を崩し昨年7月に亡くなった母、きぬゑさん=同(97)=が最後まで帰還を望んでいたことを振り返り、「連れて来てあげたかった。せめてこの町で供養だけでも」と静かに手を合わせた。(上田直輝)

このニュースの写真

  • 「やっとこの地で」震災後初めて慰霊祭 避難指示解除の福島県富岡町

「ニュース」のランキング