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【電通初公判】違法残業・電通初公判、傍聴席に高橋まつりさんの母 電通社長「責任の重さ、胸に刻んだ」腰折り深々と頭下げる

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【電通初公判】
違法残業・電通初公判、傍聴席に高橋まつりさんの母 電通社長「責任の重さ、胸に刻んだ」腰折り深々と頭下げる

電通違法残業事件の初公判後、記者の質問に答える電通の山本敏博社長(中央)=22日午後、東京都千代田区(飯田英男撮影) 電通違法残業事件の初公判後、記者の質問に答える電通の山本敏博社長(中央)=22日午後、東京都千代田区(飯田英男撮影)

 「社長として責任を感じている」。女性新入社員が過労自殺し、大きな社会問題となった電通の違法残業事件。緊張した面持ちで東京簡裁の法廷に立った同社の山本敏博社長はこう述べた。電通は過去に何度も厚生労働省から是正勧告を受けたが、体質は改まらず、社会的な信用は大きく損なわれた。それだけに山本社長は「働き方も働きぶりも、皆さまに信頼される会社にすることが全役員の決意と覚悟だ」と誓った。

 法廷には、過労自殺した新入社員の高橋まつりさん=当時(24)=の母、幸美さん(54)の姿もあった。山本社長は法廷で、幸美さんに向かい腰を折って深々と頭を下げた。

 閉廷後に取材に応じた山本社長は、幸美さんの傍聴について「私どもの責任の重さについて、改めて強く胸に刻んだ」と語った。

 異例ずくめの事件だった。厚労省による立ち入り調査はこれまで、小売業の販売現場が多く、いわゆる「ホワイトカラー」の職場が対象になること自体珍しかった。「広告界のガリバー」の異名を持つ大企業にメスを入れることで、違法残業は許さないという当局の姿勢を示した形だ。

 公判を開かず、書面審理のみで罰金刑を科す検察側の略式起訴に、簡裁が「略式不相当」という形で待ったをかけたのも異例だった。判断した理由は明らかにされていないが、過重労働に対し社会が厳しい目を向けるようになったことを考慮し、事実の解明・明確化のためにも、厳格な審理を求めたものとみられる。

 過重労働が疑われる大企業を集中的に捜査する厚労省の「過重労働撲滅特別対策班」(通称・かとく)は、昨年11月の強制捜査着手から1カ月半で書類送検した。他企業の送検事案とは異なる一罰百戒の意味合いも濃く、検察内で「国策といわれても仕方がない」(検察幹部)との声が漏れるほどの“スピード立件”だった。

 裏付け捜査は容易ではなかった。工場や飲食店などの従業員であれば、出退勤記録から労働時間を認定しやすいが、ホワイトカラーの場合、「単に出社・退社時間をもって判断できない」(検察幹部)事情があり、実稼働時間の精査が必要だったためだ。捜査の過程では、電通の労組が労働者の過半数で組織されておらず、残業時間を規定する労使協定(三六協定)が無効だったことも判明。改めて同社のずさんな労務管理の一端が露呈した。

 事件は政府の「働き方改革」にも影響を与えた。多くの企業経営者に警鐘を鳴らしたという意味でも、公開の法廷で会社の責任が問われた意義は大きい。

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