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【平成30年史 変容する犯罪(2)】地下鉄サリン事件 謎解明阻んだキーマンの死 オウムの呪縛まだ解けず

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【平成30年史 変容する犯罪(2)】
地下鉄サリン事件 謎解明阻んだキーマンの死 オウムの呪縛まだ解けず

オウム真理教による主な事件 オウム真理教による主な事件

 「このままでは教祖が首謀者として逮捕される。それでもいいのか」。土谷死刑囚は意を決したように「よく分かりました。お話しします」と応じた。

 「みんな素直なやつばかりだった」と警視庁OBは振り返る。

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 公安調査庁によると、平成28年11月末の段階でアレフと、アレフとたもとを分かった上祐史浩代表(54)が率いる「ひかりの輪」を合わせた信者数は約1650人。脱会者は少数にとどまる一方で、両団体による勧誘活動は活発化しており、28年には約130人の新規信者が確認されている。冒頭の女性は言う。

 「経済的に自立できたから辞める決心が付いた。でも、社会とつながりを持てない信者はズルズルと教団に残るしかない」。自ら犯罪に手を染めた幹部から末端信者にいたるまで、多くの者がいまだオウムの呪縛から逃れられずにいる。

                   

 謎解明阻んだキーマンの死

 「あの時、あの場所でどういう話があったのか」。オウム真理教幹部だった野田成人氏(50)は22年前に目撃した奇妙な光景が頭から離れない。

 地下鉄サリン事件の強制捜査から1カ月後の平成7年4月22日。山梨県の旧上九一色村にあったオウム真理教の教団施設「第6サティアン」。野田氏は、緑色の法衣を着た男が施設から出てくるのを見た。教団の村井秀夫元幹部=当時(36)=だった。出迎えたのは、当時、村井元幹部の専属運転手だった出家信者。その手には茶色のボストンバッグが握られていた。

 野田氏の眼前で、村井元幹部はバッグの中に身を沈めた。運転手役の信者は、村井元幹部が身を潜めたバッグを車のトランクに収める。車は村井元幹部が普段の移動用に使っていた黒色のベンツだった。第6サティアンに潜伏していたのは「尊師」と呼ばれた麻原彰晃死刑囚(62)=本名・松本智津夫=だ。野田氏は確信した。「尊師と会っていたんだ」

 「村井元幹部は、警察に見つからないようバッグの中に隠れたんだろう。そこまでして会わなければならない理由があったのか…」

 それが、野田氏が見た村井元幹部の最後の姿だった。

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