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【平成30年史 変容する犯罪(2)】地下鉄サリン事件 謎解明阻んだキーマンの死 オウムの呪縛まだ解けず

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【平成30年史 変容する犯罪(2)】
地下鉄サリン事件 謎解明阻んだキーマンの死 オウムの呪縛まだ解けず

オウム真理教による主な事件 オウム真理教による主な事件

 「断る理由もなく、つい入ったという感じ」

 オウムの後継団体「アレフ」の元信者の女性(44)はこう振り返った。

 平成3年、高校卒業を間近に控えた18歳でオウムの在家信者となり、2年後に出家。事件後もアレフと改称された教団に残った。

 先に入信していた姉の誘いがきっかけだった。埼玉県内にあった教団の関連施設に遊びに行くようになり、「自然な流れ」で入信を決めた。

 他の信者と寝食を共にする山梨・旧上九一色村の教団施設での修行生活は「サークルのような雰囲気」。そんな生活が突然、終わりを告げる。

 7年3月22日-。地下鉄サリン事件からわずか2日後、警視庁の強制捜査が始まり、警察とマスコミが大挙してやってきた。

 「宗教弾圧を受けている」。テレビも新聞もない情報から隔絶された生活のなかで、女性は幹部から聞かされた言葉を信じた。

 事件当時、1万1400人いた信者の多くは教団を去ったが、女性は教団に残る道を選んだ。

 「脱会しても行くあてはない。教団とともに生きるしか道はなかった」

 女性は、教団の運営資金を稼ぐため人材派遣会社で働き始めた。仕事は経理部門での事務職。やりがいもあり、成果を認められて正社員登用の誘いも受けた。一方、12年に発足したアレフでは運営方針をめぐって幹部同士が激しく対立していたこともあり、「外の世界」を知った女性の心境に変化が生じた。

 「この先、教団がどうなるのか分からないという思いもあった。もう出てもいいかなと思い始めた」

 15年間を過ごした教団を後にすることを決めたのは34歳の時だった。

                 ■ ■ ■

 オウム真理教が宗教団体として設立されたのは昭和62年。この年、東京・銀座の地価は1坪1億円を突破、ゴッホの「ひまわり」を日本企業が53億円で購入するなど、日本は空前の好景気に沸いていた。一方でソファに横たわりポテトチップスを食べながらビデオを見る「カウチポテト族」がライフスタイルとして注目を集めた。バブル景気に踊る者、孤独感を深める若者の二極化が進む、そんな時代にオウムは誕生した。

 物質的な豊かさに飽きたらず精神世界に豊かさを求めた。オウムに陶酔した若者を当時の評論家たちはこう表現した。

 実際、オウム事件の捜査に携わった警視庁OBは逮捕されたオウム信者の異常さよりも「普通さ」が印象に残っている。

 井上嘉浩死刑囚(47)は逮捕後、実家でかわいがっていた犬が死んだことを捜査員から聞かされ、子供のように泣きじゃくった。法廷で顔なじみの捜査員の顔を見つけると、満面に笑みを見せたという。

 サリン製造への教団の組織的関与を裏付ける重要な証言を行った土谷正実死刑囚(52)。逮捕から1週間、完全黙秘を貫いていたが、核心的な供述を引き出したのは、捜査員が投げかけた一言だった。

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