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【平成30年史 変容する犯罪(1)】ストーカー事件多発 あらゆる通信手段を規制対象にと訴えるも対応に遅れ 「『助けて』という人を守れる国にして」

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【平成30年史 変容する犯罪(1)】
ストーカー事件多発 あらゆる通信手段を規制対象にと訴えるも対応に遅れ 「『助けて』という人を守れる国にして」

ストーカー事案の相談等件数 ストーカー事案の相談等件数

 “警察不信”。まさにそんな言葉に象徴される事件だった。脅迫され命の危険を感じた詩織さんの必死の訴えに対し、警察が告訴の取り下げを要請するなど、捜査の怠慢が次々と露呈。つきまとい行為などを警察に相談しても「民事不介入」と一蹴される時代だった。議論は国会にも波及し、翌12年5月18日、詩織さんの22回目の誕生日にストーカー規制法が成立。新たな闘いのスタートだった。

 憲一さんは事件後、実名を公表して取材対応や講演に全国を駆け回り、ストーカー被害の防止を訴えた。心ない言葉や好奇の視線にさらされることも多かったが、「娘と同じような思いをする被害者を出してはいけない。これは、生かされた自分の使命」。変容するストーカーと闘う社会に、関わり続けていく。憲一さんは、そう決めている。

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 桶川事件を機にできたストーカー規制法は昨年末、小金井事件を受けて改正された。ツイッターを含む会員制交流サイト(SNS)上でのつきまとい行為を新たに規制対象に認定した。10~20代を中心に広がる「ネットストーカー」も念頭に規制の網を広げた格好だが、実は、改正のチャンスはそれ以前にあった。

 事件から遡(さかのぼ)ること約1年8カ月。26年8月、憲一さんが参加するストーカーのあり方に関する警察庁の有識者検討会は、すでにSNSによるつきまとい行為を予見して「速やかに規制対象とするべき」とする報告書をまとめていた。

 「時代とともにストーカーの“道具”も変化する。過去の事件から容易に想像できることだった」。憲一さんはあらゆる通信手段を規制対象とするよう訴えたが、国の対応は遅れ、新たな事件が起きた。「『助けて』という人を守れる国にしてほしい。それだけなんです」。“当事者”の声はすぐには届かなかった。

                   

 変わる警察「まだ意識甘い」

 「この番号は…以前にも110番通報があった被害者です!」

 DV(家庭内暴力)・ストーカー犯罪などを専門に扱う、警視庁の人身安全関連事案総合対策本部(東京都中央区勝どき)。事態対処チームの入る1階フロアには、都内の各警察署からの“速報”電話がひっきりなしに鳴り響く。

 三鷹市で平成25年10月に起きたストーカー殺人事件では、三鷹署が被害者から事前に相談を受けていたにもかかわらず、被害を防ぐことができなかった。その苦い教訓から、警視庁では同年12月に80人体制で同本部を発足。ストーカー事案を警察署任せにせず、専門部署で一元的に対処する体制を整えた。

 増え続けるストーカー事案に対応するため、現在は人員も210人超にまで増強。通報に迅速に駆けつけられるよう、初動支援班約20人が3交代、24時間365日体制で勤務に当たっている。出動件数は1日10件前後。昨年1年間の出動件数は2033件と、前年の約1・5倍に急増した。

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