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【日曜に書く】夏は痴漢の季節…「冤罪」撲滅を願う 神さまはお見通しと信じて 論説委員・清湖口敏

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【日曜に書く】
夏は痴漢の季節…「冤罪」撲滅を願う 神さまはお見通しと信じて 論説委員・清湖口敏

 なるほど現実は不条理で、逮捕されれば人生を棒に振ることにもなりかねない。痴漢をしたとして平成18年に逮捕された防衛医大教授は、最高裁の逆転判決で無罪を勝ち取るまで3年も費やした。痴漢冤罪の裁判を描いた周防正行監督の映画『それでもボクはやってない』では、「やってない」ことを証明する難しさを思い知らされた。

 そんな冤罪リスクに対応し、痴漢を疑われたときには弁護士の指示も仰げるという“痴漢冤罪保険”なるものへの申し込みが急増しているという。この手の保険が繁盛するようなご時世を嘆きつつも、冤罪から逃れたい一心で加入するのだろう。

道真公の神徳

 私は犯罪被害者の遺族の心情の重さに鑑みて死刑制度の存続に賛成するものだが、制度存続のためにも、この世から冤罪という冤罪が全てなくなることを願ってやまない。何より、本当にやっていないのなら逃げなくてもよいような仕組みを整えることが必要である。

 とはいえ早速にはかなわないだろうから、あとは神仏の加護を頼むしかない。そこでふと頭をよぎったのが天神さまだ。藤原時平の讒言(ざんげん)により謀反の濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)を着せられ、九州の大宰府に左遷された菅原道真は、いわば歴史上最も有名な冤罪被害者である。祟(たた)りを恐れ、道真を天満天神として祭った京都の北野天満宮には、冤罪から救ってくださるありがたい神徳が伝わる。

 ある高僧が鳥羽院の女房に懸想(けそう)しているとの嫌疑をかけられた。困惑した高僧が北野社で祈ったところ、その女房が嘘を言いふらした報いとばかりに半裸で舞い狂ったので、高僧の冤罪が晴れたという。『北野天神縁起』などに残る話だ。

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