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【産経抄】笑顔だった姿を見てほしい 10月19日

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【産経抄】
笑顔だった姿を見てほしい 10月19日

 江戸時代後期から明治時代にかけて岩手県の中央部では、死者の供養のために、その人の姿を描いた絵を菩提(ぼだい)寺に奉納する習俗があった。もっとも生前の様子というより、来世での理想像が描かれている。

 ▼ところが写真の登場によって、死者のイメージは、残された人々の記憶と重なるようになる。かくして遺影は、「死者そのものとして、語りかけたり供物を供えたりする対象となった」(『亡き人を想う-遺影の誕生』山田慎也著)。

 ▼真っ赤な傘をさして踊っている、着物姿の少女の笑顔がまぶしい。青森県黒石市内の祭り「黒石よされ」を見物していた男性が今年8月、偶然に撮影した写真である。モデルとなった青森市立中2年の葛西りまさん(13)は祭りから10日後、列車に飛び込んで亡くなった。同級生から、ひどいいじめを受けていた。

 ▼幼い頃から津軽手踊りを習っていたりまさんは、かつて仲間と日本一に輝いたほどの腕前だった。「いじめられても、笑顔だった姿をたくさんの人に見てほしい」。こう話す父親は、何度も自慢の娘の遺影に語りかけたはずである。

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