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【認知症事故訴訟】「老老」5割超、家族介護の限界 「認認」も顕在化

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【認知症事故訴訟】
「老老」5割超、家族介護の限界 「認認」も顕在化

最高裁判所第三小法廷=1日午後(撮影・春名中) 最高裁判所第三小法廷=1日午後(撮影・春名中)

 認知症の男性が死亡した鉄道事故をめぐり、高齢の妻に賠償責任はないとした1日の最高裁判決。法が想定していなかった認知症高齢者の在宅介護の悲惨な現実に初めて目を向けた司法判断といえる。高齢者が高齢者を介護する「老老介護」はさらに増えるが、今回と同じように認知症高齢者が事故などを起こした場合、介護する家族の賠償責任の有無は今後、ケース・バイ・ケースで判断されることになる。

■想定外の事態

 責任能力のない人の監督義務と賠償責任を定めた民法714条の規定はもともと、子供に対する親の監督義務を想定していた。成年後見制度など、責任能力のない人へのサポート体制が民法改正などで確立していく中、条文の対象が徐々に狭まってきた背景もあり、認知症の高齢者をめぐる監督義務の問題は、事実上、法の想定外だったとみられる。

 高齢化が進むにつれ立法の不備が鮮明になり、限界は目に見えていた。認知症患者が絡む鉄道事故について、国土交通省は平成26年度から鉄道会社に報告を義務付けたが、同年度だけで29件発生、22人が死亡したという。関係者によると、「過去にも相当数、同様の事故があった」というが、今回の訴訟までほとんど表面化しなかった背景には、話し合いなどで認知症家族側が何らかの責任を取るという選択肢を取っていたためとみられる。

 最高裁は近年、法律が整備されているとは言い難い家族を取り巻く問題に、積極的な姿勢を示している。同様の問題で、家族が矢面に立つ局面が今後も想定される中、ベテラン裁判官は「認知症について問題提起する良い機会と見たのではないか」としている。

■社会全体で注意

 今回、訴訟となった事故は、徘徊(はいかい)中にはねられ死亡した男性が認知症で「要介護4」の91歳、介護をしていた妻は足が不自由な「要介護1」で当時、85歳という「老老介護」の最中で起きた。近年はこうした老老介護のほか、認知症の人が認知症の人を見る「認認介護」の世帯も顕在化する。

 平成25年の厚生労働省の国民生活基礎調査によると、介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護をする人も65歳以上である「老老介護」世帯の割合は51・2%。13年の調査開始以来、過去最高となり、初めて5割を超えた。核家族化が進む中、老老介護の世帯は今後も増加が見込まれる。

 また、詳細な統計はないものの、軽度の認知症の人が、より重い認知症の配偶者らを介護する「認認介護」世帯も一定割合で確認されている。「認認介護」の名づけ親とされる「たかせクリニック」(東京都)の高瀬義昌理事長は「認知症は早期発見が重要だが、老老・認認介護では、本人たちが困っていることに気がつかず、行政や医療につながれないこともある。社会全体で知識を広げるとともに、離れて暮らす家族や在宅医らは介護者にも注意を払うことが必要」と話している。

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