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【世田谷一家殺害事件 迷走の15年(下)】薄れる「特別な事件」 「ホシに必ず現場を案内させる」思いで保存続く現場も取り壊しの危機

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【世田谷一家殺害事件 迷走の15年(下)】
薄れる「特別な事件」 「ホシに必ず現場を案内させる」思いで保存続く現場も取り壊しの危機

事件の現場になった宮沢みきおさん宅。老朽化による外壁の崩落防止のため、周囲に防護ネットが張られている=21日、東京都世田谷区上祖師谷

 現場を訪れるたび、無人の家はこうも傷みが激しくなるのかと感じさせられる。現場となった宮沢みきおさん=当時(44)=宅は平成26年夏から壁崩落の危険性があり、ネットが張られ保護されている。15年も保存されている事件現場は極めて珍しい。

 一家4人が殺害されるという残忍さと事件の特異性から「ホシ(犯人)に必ず現場を案内させる」(元捜査幹部)との思いもあり、保存されているのだ。

 この現場に“危機”があった。事件から12年ほどたった頃、事件の最高責任者である警視庁刑事部長のもとに決裁書類が回ってきた。すでに捜査1課長、刑事部ナンバー2の刑事部参事官の判も押してある。

 その決裁書類とは、宮沢さん宅を取り壊すというものだった。当時の刑事部長が難色を示したため取り壊されることはなかったが、あと少しで解体されるところだった。

 DNA型や指紋、多くの物証もあり、現場がなくても検証は可能だ。だが、捜査1課OBは憤りをあらわにする。「取り壊しの話を聞いたときは愕然(がくぜん)とした。犯人に現場を案内させ、『あの日』を一から思い起こさせて事件を再現させなければ意味がない。『この事件だけは特別』。そうした思いが薄れつつあるのか」

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